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これからの医療の行方

これまで医療の世界において、新しい医療技術、医療機や薬剤の革新と普及が重視されてきました。このような中で、中核をなす概念は有効性と安全性でした。その結果、先進国において人々の平均寿命は延び、生活に大きなメリットをもたらしてきました。しかしながら、高齢化の進展に伴い社会保障費の増大、特に医療費の高騰が多くの国々に財政負担を高める結果になっています。そのために、近年コスト効率が重視されるようになり、薬価の引下げ、ジェネリック医薬品の活用拡大、包括払いや診療報酬の削減等が行われるようになりました。その結果、医療業界に将来に対する不安と閉塞感が拡がっています。

近年これまでの有効性・安全性とコスト効率の概念の対立を乗り越えようとする新たな動きが出てきています。これまでは、実際の患者治療の結果ではなく、臨床試験の結果に基づき(Evidence Based Medicine)、新薬や新しい医療機の導入が図られてきました。言い換えれば、これまでの主語は、科学者・研究者、製薬メーカーや医療機メーカーになりがちで、患者を主語として結果を判断することとは、必ずしもイコールではありませんでした。これからは、患者にとっての価値を中心とした考え方(Value Based Health Care)、すなわち医療サービスの結果とコストの両方を見ようする方向に向かうものと思われます。

今後患者にとっての価値を中心としたより良い医療を実現するためには、医療業界において様々な改革が望まれます。今後望まれる改革には、主に下記のようなものが考えられます。

  • -プライバシーに配慮した完全なカルテとレセプトの開示とビックデータの活用
  • -政府の医療資源の充実と効果的な配分
  • -医師、看護師や薬剤師等の医療従事者の技術を評価する報酬制度の導入
  • -医療分野における専門制度の確立
  • -医療資格の更新と生涯教育の法制化
  • -医師会のリーダーシップの発揮
  • -高齢者医療、終末期医療やチーム医療の実現
  • -医療と介護の効率的かつ効果的な連携
  • -患者のQOLに配慮した痛みに対する対応
  • -医療教育の改革と医学生等への支援及び国際交流

いずれにせよ、現状の医療財政の深刻化を考えると、今後医療の有効性・安全性とコスト効率の両立がますます必要になっていくものと思われます。

当研究所の代表は、ミネソタ大学に留学中にミネソタ州の小都市であるロチェスターにメイヨー・クリニックと言う優秀な病院があることを知り、医療に関心を持ちました。後年メイヨー・クリニックが臨床医療、教育と研究を三位一体として輝かしい実績を残していることを知りました。数年前にオバマ前大統領が、メイヨー・クリニックが「患者のニーズが第一」と言うミッションを掲げ「質の高い医療を提供しながら、医療費を低く抑えている。」と高く評価しています。当研究所は、メイヨー・クリニックが今後日本の医療が模範とすべき対象の一つになると考えています。

臨床医療の国際交流

過去日本の大学において臨床医療や教育よりも研究が重視されてきました。基礎研究は非常に重要です。近年のIPS細胞等の再生医療は将来の医療を大きく変える可能性を秘めています。しかし、基礎研究は多大な費用がかかり、その成果も確かなものでなく、国が戦略的にサポートすべきと考えています。当研究所は、臨床医療も非常に重要であり、臨床医療の技術の向上には国際交流がたいへん有益であると考えています。当研究所は、今後収益の一部を臨床医療の国際交流の推進している財団やNPO等に寄付したいと考えています。そして、皆さんが投資や資産運用の収益の一部を当研究所が推薦する団体に寄付等のご協力を頂ければ幸いに思います。

(更新日:2018年8月1日)

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